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大手町 星のや東京 現代和風の先端か?
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 吉村順三の軽井沢の山荘から>デヤング美術館>桂離宮月波楼と、和風濡れ縁(縁側)について解釈してきた。この視点を持って、見えてくるところが幾つか出てきました。その一つが和風の客室を展開する「星のや東京」の現在でした。今まででは気付けない違いが分かるようになってきて、言葉にもできるようになってきたのでした。

www.google.co.jp/maps/ 星のや東京 2016年7月 地下3階地上18階高さ90m






 いつものように何となく見ていたテレビで、10月頃かな、大手町の「星のや東京」が紹介されていました。なんと都心のオフィス街という、先端の洋風都市(不思議な言い回しですが)真っ只中に、和風趣味の客室を展開するという、ビックリと見えました。けれど室内が紹介されると、それは和風の先端と思える展開をしていたのでした。







外観は黒色の縦ルーバーとしたもので、ここでは存在を目立たなくシックに仕上げている感じです。玄関に案内されてビックリ、なんと靴を脱いで上がるのでした。しかもスリッパ無し、素足仕様なのでした。ここまでやるのか、これは何かありそうと、期待させます。

しっかり確認するために、星のや東京のHPから写真を拝借しました。
まずこの2枚の客室内の写真を見てください。





まず驚くのは窓側 開口が床まで下りていることでした。
古くからの和風旅館の様式としてはあまりに当然のことですが、大手町という都心に建つ客室としては一体どうなっているんだろうと思わざる終えないです。なぜなら、和風旅館なら、畳の部屋があって、縁側があって、次は庭園と成っているjことに依って、伝統和風の構成になって安定した価値であったわけです。ところがここには庭園がない都心では無理でしょうと。高層部の客室に庭園は無い物ねだりです。

そうです、そこでこそ工夫がありました。
障子を入れてから、縁側とおぼしき緩衝スペースを狭いながらも取り(500くらいか)、このワンクッションが視線の陰に隠れるようになって安心を作っているんだと思う。これで外部はほとんど見みえない(と思う)、おまけに透かしの葉っぱの模様で埋められた大ガラスがあるのでした。ここの見え感がどのくらいなのかは体験しないと分からないのだけどね。もしかして全く見えなかったりして。
そしてガラスの外には丸形と葉っぱ模様のスチールルーバーが付いている。で見える景色は向かいのビルではありますが。ビルとは一応距離は結構あるのです。(google計測で25m)このオフィスビル街と言う見えるべき庭園のない困難な状況で、ここまでして開口を床まで下げ開放感を目指した理由は何でしょうか。

それはまずは壁に穿たれた窓から見える別世界の外ではなく、外と室空間が繋がっている感覚を和風のように実現できないのかと考えたんだと思います。それは今までの客室の囲まれた感じではなく、床の広つながりを通して外へと広がっていく空間感覚を大切と考えたのだと思います。そこでは街の喧噪が=オフィス街の賑わいが感じられます。例え障子でチョットの透き間しか明いていなくても、オフィス街にいるという空間感覚は、場所の間隔としてしっかり感じられると思うのです。ホテルの抽象的な密室空間ではなく、その場所=大手町にいる感覚をしっかり感じられる=これこそ和風の掃き出し窓ゆえにできることだったのです。あるいはこんな和風のシックな室内から都会の喧噪が見られるなんて=と言うギャップが目標だったかも知れません。それにしても前のビルに向かって開くなんて勇気あるなー。隣棟感覚があり、高層ビルだからできたんだと言うことでもありますが。

けれど少し疑ってみるなら、これはポツ窓でも得られるかも知れない。
そうです密室感からのポツ窓の街を覗くという感覚と、床までの開口だと=床から室が街に広がって行く空間感覚が違うのでした。それは部屋自体も外への広がりの感覚によって広、室の広がって行く感覚を生んでいるように思う。ここではガラスによって視角だけ街に開かれた空間感覚ではあるのだけれど。

又窓面が大きく見えるのは、天井いっぱいの一枚建具であることも大きいですね。
ここでは部屋の壁面4面の窓側を一つの単純な面として構成することにしています。単純化で一壁面が目一杯窓面として単純化しています。障子の紙を伝統だと外側に貼って、障子の桟が見えるのですが、ここでは反対に内側に紙を貼って単一面に見える工夫となっていますね。
 ただ天井は通常より高くなっていると思います。室の重心を下げるデザインなのですから、人の視線も下がるのですから天井も下げた方が安定すると思うのですが。

この掃き出し窓の開口が街に広がって行く空間感覚というのは、実は床が街に広がって行く感覚と言うことであ留のですが、ここでは畳の床の広がり感の延長として、縁側ようの物が設えられていることも大きな意味を持っていると思います。それは外に向かって行く2段階を感じさせてくれるからなのです。2段階という面の段階としてデザインすることで、またそこから外へと床面に案内されると、意識が外へと導かれるのです。そうこの外側に、もう一度濡れ縁とも、メインテナンス キャットウォークとも言えるような物があれば3段階の導きとなって完璧なのですが。

そうなんです、それには家具も床座の家具の方が素晴らしい。ここの家具を見ると低いです。今までのソファーの高さではないように思います。床座に近い家具を設えているように思います。ベットも低いです。この重心を下げた室内の感覚は新しいのか、和風の古い様式に向かっているのか。ここでは床座が新しいのだと言っているように思います。家具の重心が床になって低いからこそ、床から外への感覚を生んでゆけるようです。


今までの話しは、ついでに「星のや京都」を見れば、「星のや東京」が開口を床まで下げてきたことや、家具の重心を下げてきていることがよく解ります。
星のや京都もだいぶ前にテレビで見ていました。船に乗って和風の宿に行くというシチュエーションで、異界への旅という感じで凝ったお持てなしですね。











京都という伝統和風建築の場所でありながら、和風の畳の床>縁側>庭園という構成を外しています。
室からいきなり外部への横長窓となっていて、腰壁+垂れ壁が付いていることが分かります。ここでは腰壁+垂れ壁を付けることで、空間のマトマリ、個室感を優先したのだと思います。そのうえで庭園を風景を楽しんでもらう横長窓を付けたと言うことです。でもこの窓は覗いている感でしかないことは否めないですね。

またソファーのマット2段重ねであり、ベットも2段床という工夫で和風の床に引く布団の感覚を出そうとしていますね。丸ノ内星のや東京には及ばないでしょうね。ここでは全体として、船での異界へ誘う感じからしても、孤立感、個室感を和風のデザインで実現したいとしたコンセプトであろうと気付きました。どうでしょうか。

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以下 googleより











www.google.co.jp/maps/ 星のや京都


   関連 hp

星のや京都 hoshinoyakyoto.jp

星野リゾート - Wikipedia

HOSHINOYA Tokyo 星のや東京 | 日本旅館 | 宿泊予約【公式】

星のや東京で日本旅館のおもてなしを体験してきた - タイムアウト東京

「星のや東京」は旅館というより“ぜいたくなオレんち” TRENDY

【星のや東京】ついにオープン! 世界が認めた「星のや」。極上の中はこうなっていた! 宿らんマガジン



-----------追記 1------------------------------------------------------------------------------------------------
 星のや東京でスタッフの方にアポ無しインタビューをしてきました。玄関での立ち話でしたが、お客さんは半分が日本人、その又半分が中国人、残りが欧米人とのことでした。
客室のガラス開口は麻の葉の模様で、こっれは星野屋のマークとのことでした。またガラスは完全透明とのことです。素晴らしい。障子とガラスの間隔は人がぎりぎり入れるくらいとのこと。開口、障子が天井いっぱいなのは部屋が広く感じられるためだと言っていました。建築のこともしっかり掴んでいて感心しました。設計者は東 環境・建築研究所/東 利恵さんで、星のや京都も同じでした。

 新建築誌201701号に記事がありました。
天井は2900と和室としてはとても高いです。障子・ガラスは2300と高いですね。床は畳>障子・縁(絨毯)>麻模様ガラス・グレーチング>麻模様アルミ格子となっています。グレーチングはわたくしの考えでは濡れ縁に当たる水平視線への誘導装置で外への重要な招きですが、ここでは高さ位置が内部床にそろえられていませんので、絶壁仕様となっています。丸格子があるので高さ感は押さえられていると思います。

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-----------追記 2------------------------------------------------------------------------------------------------
 建築家は星のや東京の次に、バリにもリゾート施設を設計したと友人から聞きました。
早速ネットで調べてみました。良く見えませんが、床座とはいかないものの、ベットは低いかのような仕様になってますね。
居間がこの鳥かごのようになっているところなのでしょうか?
これは床座を実現しているということなのでしょうか?
この空中宙吊り感は、和風の見る意識の浮遊感を超えていると言ってしまいたいくらいのですが。

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森の樹木の上部に小屋が配置されているのでしょうか。すごいシュチュエーション。














円柱の柱でRCスラブを持ち上げているようです。


居間がこの鳥かごのようになっていると言うことなのでしょうか?


鳥かごのような檻に、床もかご状で、そこに3畳ほどのソファーを置いた、という設定でしょうか。
この空中宙吊り感は、和風の見る意識の浮遊感を、超えていると言ってしまいたいくらいのです。
すごいことになってます。