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消えるガラス建築 Apple Store 表参道店
アップルストア表参道 apple.com

                    設計:Bohlin Cywinski Jackson
           光井純&アソシエーツ建築設計事務所
          
                       photo by mirutake 2001-201502


メゾンエルメス 2001 ショウーウィンドーでファサードがしめられている。


アップル銀座店 2003


ディオール表参道 2003


ディオール銀座 2004


TOD'S表参道 2004


アップルストア表参道 2014 ( photo by apple.com ) 

この写真は夜間照明によって奥の壁 天井で存在感を作っているが。

 ブランド店の建物はランドマークになるように目立つ建築となる。
それもゴテゴテさせずにできるだけシンプルな外観で、モノリッシクに主張を内向化することで、逆にそのシンプルさに驚嘆させ目立つことになるという、シンプルイズベストということだった。それに又新たな展開があった。


道路の反対側から見る。


ガラスが透明ゆえ屋根が目立っている。


ここまで近づくと屋根が見えない。


お店の外観が透明ガラスだけだから、歩道を歩く人と、店内の人が溶け込んでいる?


 アップル表参道を見に行ってきた。
建物は角地に位置し、3面大ガラスになっている。ただそれだけ。エーこんなシンプルで目立たないことができちゃうんだと驚いた。近づくと特大ガラスだから建物要素の屋根は消えてしまう。ガラス越しではあるが、内部にあるアップル製品の展示とそれを試している人、そして説明する店員だけが見えてくることになる。ここの視覚ではアップルのロゴマーク看板さえ視界にない。人しか見えていないのだ。ショーケースもない、アップルストアーの表参道に立つ建物なんですよ。お店に入っている人だけが、その展示物だけでアップルの店舗である表明になっていると言うことか。アップルを意味させる物は最小限で人の賑わいだけでいいんだよ!と言う表明なんでしょうか?すごい。

 ここまでの解説が今回発見した新展開の眼目でした。
こらから書くことは、それを支える裏方の技術やデザイン方法の卓抜さについて解説してゆきます。




アルミの巾木が歩道の傾斜なりに低くなってゆく。


開けっ放しのガラスドア入り口 ガラス庇


坂道なりに床が潜っていっている。


入口を過ぎるとアルミの巾木は無く、床が潜ってゆく。


隣地側のスペース ステンレス円柱の椅子か?追突防止か?


写真左側 内側のステンレス巾木がだんだん幅広になって床が潜っていく。


高い吹き抜けのガラス張りワンルームの店舗

 それはただ有ったのだ。何の驚きも無く、単に3面ガラスの箱が有った。
もっと接近してみる。するとスポットそこだけガラスがないところがある。穴が開いているのです。当然ここが出入り口なのですが、大ガラスの中央にはガラスの扉が外開きで開け放たれていた穴だったのでした。(2m角くらいか)何という事だ。開け放しなのです。その透明感は何もない透明感そのものの当たり前に何もない。スッと入ってくださいと言っている。スッと入るしかない。素っ気ないというほど簡潔明快。今は冬で外は寒いのですが、エアーカーテンのようなものはないらしい。下から噴き出しているようにも感じない。人を迎える玄関のあまりの簡潔な設計判断に脱帽。
1階が外気に近い温度でよいという判断なのだ。これなら店に入って熱くなって、コートを脱ぐという事もなく、気楽に入って出てゆかれる。新しい外部感覚のショールームと言うことか。(日本ではドラックストアーがマツモトキヨシなどで、入口全て開け放しのやり方を以前からしていて不思議に思っていた。お客さんが出入りしやすいのと、滞在時間が少ないという事で、しっかり暖房状態でなくてよいと言うことかと思っていた。)
 ガラスのひさしは必要だったか? 雨の日の傘の処理場としては小さい庇だ。滝のように正面を伝ってくる雨を防ぐという事か。雨の日に行ってみたい。

また表参道の傾斜に合わせて犬走り状のものを作っている。内部には奥行600位のグレーチングが参道幅全面(3面)に仕込まれている。ここに大ガラスの足元のシンプル納まりのポイントがある。足元のガラス受け金物や土止めのコンクリート壁など、下手な者がやるとゴテゴテになっちゃうところだが、ステンレスパネルと石のやかパネルでシンプルに受け止めて終わり。あまりのすっきりさに驚く。上手いなー。

 現場だと大ガラスの面ばかりが見えているが、3面ガラスになっていて、柱がないから、屋根は片持ち梁で張り出している。8m位あるのかなー。GOOGLE ストリートビューで見ると、屋根ばかりでガラスの3面が何も無いような感じで、写真に写っている。これこそ設計意図だなー。上手い。
 屋根は薄い。薄く見せている。
この大ガラスは高さ9500mmあるというから、上から金物でガラスを吊っていることになる。その金物を収めるスペースを感じさせない薄い屋根を工夫している。

 また3面大ガラスと書きましたが、この敷地は2面道路ですので、3面目のガラスは隣地との扱いが曖昧になってしまうものですが、ここでは隣地距離を5m程の引きを取ることで、3面大ガラスが明解に鑑賞できるようになっています。こんな一等地ではお店有効を敷地いっぱいに取るものですが。しっかりデザイン優先で考えられており、お店の「格」を感じさせます。かえって隣地側の空き地(広場というには狭い。)からの眺めが良好で、3面大ガラスなっているのが良くわかるビューポイントになっているのです。一応ステンレスの円柱椅子が2個セットされています。これはもっとしっかり溜り場をセットしてほしかった。これからでもできますよ。














 内部に入る。吹き抜けの十分な大空間と言いたいくらいの空気量だ。
高さ9500あるという事だが、爽快。上手いなー。1階はシンプルに大空間ワンルームのみ。
 玄関はいるとすぐに地下に下がる回り階段がある。
引きが無さ過ぎる気もするが、ガラスの踏面+ガラスの手摺り。手摺りのガラスは25ミリくらいある厚手の透明。踏面は滑り止めのパターンエッチングのスモークガラス。ステンレス手摺りも簡単きれい。地下から立ち上がる回り階段だが、立ち上がる桁に人が当たらないための柵などはない。店員に苦情がないのか確かめたが「ない」という事だった。太いから視覚的にわかりやすいのか、螺旋状に立ちあがっているから避け易いのか。気持ちの良い明確な設計判断を感じる。玄関周りにしても、「いらない」という判断、無くすという判断があることが、設計をやっているものには見えるのですが、現実にないわけだから、当たり前にシンプルであるのではなく、安全への大きな判断の積み重ねとして挑戦されている。すごいです。ここらあたりが直ぐに安全手摺りを付け足してしまうのとは大違いですね。こういう使うところの安全判断も「含めて」シンプルデザインに挑戦しているところが凄いと思います。

                                        mirutake 2o15o218


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光井純 (ウィキペディァ)