メゾン エルメス 2001
           
              ■設計 レンゾ・ピアノ
           photo by mirutake 2007.1 2006.12 .8




この建物は昼間離れて見ていると、黒い建物に見えるのでよね。こんなに大人しい建物だったのかという印象です。
その印象で接近してゆくと、建物の曲面コーナーが光っているのに出会います。このきらりと光るコーナーの輝きを見ると、おとなしさの中に、接近するときらりと光を見せる、なかなかの演出に魅了されてしまいました。こういうのを「シック」というのかという感じです。
















そしてもっともきらりと光って訴えてくるのが、コーナーの曲面になっているガラスブロックなのです。
コーナーの曲面状になっているというのは、どこから見てもこの部分は必ずひかる角度があると言うことです。コーナーを曲面にした意味がここにあります。またここのガラスブロックは通常の大きさの半分にしていて、目地もその分多くなって良く光って見えると言うことになります。








初めはガラスブロックの目地が光っているのかと思うのですが、そうではなくその内側、ガラスブロックの一番外周が光っているのが解ります。
その光のなお内側がガラスブロックの厚みを表していることが解ります。故に光っているのはブロックの固まりにリブをつけて、そこを内側から光る塗装をしたというのが解ることになります。このことがコーナーのショーウインドーのところで切り欠いたガラスブロックが付けられているので、このことがよく解るでしょう。

通常のガラスブロックは矩形のガラスの固まり以上にリブとしては出っぱっていない。鉄骨にガラスブロックを取り付けるカバーとして必要だったのかもしれないが、このリブの内側に、シルバーの塗装か金属の蒸着を施して、外から光って見えるようにしている。この光が建物全体を見ているときにはあまり目立たないのだが、近接するとこのコーナーがよく光って見えるのだ。この近接したときの光を見付けたとき、このけんちくの眼目を見付けたと思った。近接しガラスブロックに相対するとき、このきらりとした光が「おっ!」と思わせる。


































  夜景です。
実物もこんな感じであんまり光ってないのです。
まだらな光の箱という感じです。あんまり冴えないんです。それはきっと、妹島和世の表参道のディオール表参道のあの夜景の白い輝きを知ってしまったからでしょうか。
あるいはこのすぐ近くにある、乾久美子のディオール銀座の渋い白さに魅入られてしまったからでしょうか。並べてみていると圧倒的にディオール銀座が目立ってます。


夜もまた全体として眺めると、設計者が目指したもの=日本の「行灯」のように、ぼーっと光っているのでした。
目立たないです。建物が光っていないソニービルの方が目立っています。

2001年にできた頃には派手な建築だと思い違いをして、そのままになっていました。それは夜景から見たのが失敗でした。当時のファサードのショーウゥインドーは真っ赤で派手なものだったのです。写真が残っていますからそれを見てください。(けんちく激写資料室)

現在はどうでしょう。(2006年12月)このときショウウィンドーが白になっていることもあって、その大人しい佇まいに却ってびっくりしたものでした。妹島の表参道ディオールや、乾の銀座ディオールの夜景の白を見ていると、エルメスは大人しいと感じてしまうのでした。



こういう渋い建築にしたかったのだという意志を感じます。ちょっと無いものですね。


           20070122 mirutake





















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    レンゾ・ピアノ ウィキペディア
    レンゾ・ピアノ建築集『ビルディング・ワークショップ』1966〜2005